diary

“Quem deseja ver o arco-íris, precisa aprender a gostar da chuva.” @pyi46

分かり合えなくても、分かち合える。

 

今年の頭から開催されていただいたいぜんぶ展が5月31日で閉館を迎えましたね。

正直なことを言うと僕は可愛い乃木坂ちゃんの映像を見てるのが好きなオタクなので、衣装やジャケ写などにはあまり強い思い入れがなくて食指が動かなかったのですが、最後に一度は見ておきたいなと思ったのでお邪魔してみました。

会場は最終日ということも相まってなのか沢山の人で溢れていました。

行列のあとをついていくと、ツイッターで流れてくる画像でおなじみの入館券にどいやさんのスタンプを押してもらい、会場入りするとこれもまたツイッターで流れてくる画像でおなじみの飛鳥ちゃん達と写真を撮れるスペース。若い子たちが写真を撮ってるのを眺めながら暫く待つと、まず最初に2,30人ほどで区切られて入った部屋で映像を見る所からだいたいぜんぶ展がスタートしました。

映像ではMV撮影の裏側の様子が見れたり、関わったクリエイターやスタッフからの乃木坂ちゃんへの印象が速足で流れていきます。彼女達への魅力を語るクリエイターの人たちの言葉を見ると、乃木坂46が関りを持つ多くの人に愛されてきたからこそ、この展示が成立したんだなと感じます。

映像が終わるといよいよ展示スペースへ。9万点超の資料が展示されているだけあって、そのボリュームは圧巻でした。ジャケ写、絵コンテ、設定案、小道具、衣装。

世に出ているものだけではなく、出ることがなく終わったジャケ写案など、実際に足を運ばなければ見れないものもあり、また展示されずに箱の中に入っていて取っ手の隙間から覗かないと見れない資料にはちょっとした驚きも混ざっていて、だいたい全部展の名に負けない表も裏も合わせただいたい全部がここにはあるんだなと思いました。

MVの台本や絵コンテからは、作り手がどんな思いでその映像を撮ったのかが直接的に伝えられて、記憶の中の映像と照らし合わせて新たな発見があったり、もう一度そこに注目して映像を見返してみたいなと思いました。

シャキイズムの設定資料では名前と顔が認識されてなくて飛鳥ちゃんの写真に「チハル」、ちーちゃんの写真に「アスカ」と書かれていたり、初期の頃から徐々に凝って豪華になっていく資料や衣装を見ると、乃木坂が積み重ねてきた歴史を感じました。

また、大画面の映像や膨大な写真には乃木坂ちゃんの可愛さが沢山詰まっていて、壁に書かれたサインや、卒業したメンバーの写真も含め、視覚的に可愛い乃木坂ちゃんを沢山楽しむ事も出来ました。

物凄いボリュームでお腹いっぱいになるくらいの満足感は得ながらも、会場を出た後には全てを見きれていない、また見たいとも思わせる、素晴らしい展示会だなと思いました。

 

 

さて。ここからは個人的に感じた感想を書きたいと思います。

 

会場入りして一番最初に見る映像。オープニングの映像はこれから展示会を見る人へのメッセージが込められていると思います。そこに流れるのは乃木坂ちゃんの言葉ではなく、クリエイターの言葉。

全ての展示物にも、クリエイターの想いが詰まっています。

「だいたいぜんぶ展」

9万点超の膨大な資料。それは「乃木坂46の歴史」と言っても批判は出ない量だと思います。だけど「だいたい全部」と名前をつけた。だいたい全部ということは逆説的に言うとここに全ては揃っていないということ。

ではここに無いものは何か。それは乃木坂ちゃんです。ここには今までの歴史全てが揃っているのに、彼女達だけがここにはいない。

 

ここに展示されているのは、乃木坂46のだいたい全部なのではなく、乃木坂46を作り上げてきたクリエイターの全部なんだなと思いました。乃木坂の歴史の中の、乃木坂ちゃん以外の全部。だから、「だいたいぜんぶ」なのだと。

 

乃木坂46をレストランに例えるなら、乃木坂ちゃんは食材で、クリエイターは料理人、作品は料理です。食材は最高級のものです。そのままでも充分に美味しい。では食材が美味しければ料理をするのは簡単なのかと言われるとそれは違います。そのままで充分美味しいことを客は知っています。下手な味付けをしてしまえば、たちまち客からクレームが来る。いかに客に満足してもらえる料理を作れるのか。それがクリエイターの腕の見せ所です。

僕は展示物からクリエイターの声を感じました。「わいはこの食材をこんなにも美味しく仕上げたんやで。どや」と。

 

だけどそれは逆に言えば、乃木坂ちゃんがどれだけ愛されてるかにも繋がります。

僕は乃木坂46がここまで人気を得たのは可愛いからだけではないと思っています。彼女たちの人間としての魅力が人を惹きつけてきた。可愛いという要素だけではここまで沢山の人に愛されるグループにはなってないと。そしてそれはファンにも言えるし、スタッフにもクリエイターにも言える。

彼女達が魅力的だから、クリエイターは最高級の作品を作ろうとする。

その結果が「だいたいぜんぶ展」に詰まっているなと。

 

 

ーーー

 

だいたい全部展を見た後、何人かのオタクと一緒に飲むことになりました。

FFとして僕の事を知ってくれてはいるけど初めて会うオタクが多くて緊張しましたが、有難いことにみんな好青年で僕みたいな人間を受け入れてくれて非常に楽しく飲むことが出来ました。

初めてお会いするので、誰推しなのか、いつからオタクになったのか、そんな話も交えながら乃木坂ちゃんの可愛さについて語り合いました。

当たり前ですが、オタクになったきっかけも、推しも、好きな曲も、10人いれば10人のエピソードがあります。自分とは違う推しでも、好きになったきっかけも、聞くだけで楽しいなと思います。それは全ての話の向こう側に共通してあるのが「乃木坂が好き」って同じ感情だから。

 

 

だいたいぜんぶ展には沢山のファンが溢れていました。何十人、何百人のファン、その全ての人が同じ展示会を見ながら、その全ての人が違うものを見ている。出てくる感想も違う。

例えば、お皿の上に置かれたリンゴを見た時に、そのリンゴを見る人も、お皿を見る人も、リンゴの丸さに目が行くひとも、美味しそうだなと思う人も、自分の過去のリンゴに関わる思い出を思い出してる人もいるかもしれない。

同じものを見ていると思っていても、同じものを見ている人は1人もいない。

だけど時に人は相手も自分と同じリンゴを見ていると思ってしまい、だから人と人は時に縺れたり、いがみあったり、涙を流したりします。

「生きるってのは複雑だし、そう簡単に分かり合えるわけない」事を忘れてしまって。

 

飲みの席の中でぜんぶ展の感想を聞かれ、僕は前出に書いた感想を話しました。酔っていて上手く説明出来ないまま雑に話したのがいけなかったのかもしれませんが、他の感想を持っていた人からしてみたら僕の感想はポカンとなるような感想だったのかなと思います。実際その時は僕の感想に少しポカンとした空気になりましたw

このブログを読んでいて実際に見に行った人からしてみても僕の感想は訳の分からない感想だと思われる人もいるかもしれません。

 

だけど、自分以外の人の感想の中には、新たな発見があるかもしれない。

そこから新たな違う感情が生まれる事があるかもしれない。

 

飲みの席で一つ凄く嬉しいことがありました。

そこで初めて会ったオタクに、僕が以前ブログで書いたある言葉が今でも心に残っていると言って貰えて、こんな僕の言葉をそう思ってくれてるんだなと、それがとても嬉しかったです。

 

同じものを見てるつもりでも違うものを見てる。だけどその結果、感銘を受けたり心を動かされることもある。だから違うものを知るのは凄く大切なことなんだと思います。

 

僕の語彙力の問題もありますが、自分の想いが文章から100%相手に伝わってるとは思ってません。だけどそれは問題じゃない。読み手側がそこから何かを感じ取って、自分だけでは抱かなかった感情が芽生えることもある。

 

全ての人が同じ景色を見て同じ感情になっていたら、この世界に歌は生まれなかった(急に詩的)

 

 

ーーー

 

MVの台本や絵コンテには、映像で直接的には伝わらない細かい設定が沢山ありました。

シンクロニシティのMVや振りに込められた思いも。

僕の言葉と並べるのは畏れ多すぎるんですが、きっとクリエイターにもそんな思いがあるのかなと思いました。「作品に込めた自分の世界観が100%相手に伝わらなくてもいい。そこから新たな何かを感じてくれれば」と。

 

そしてだいたい全部展からもそれを感じます。9万点全てを見るのは不可能です。だけど、「全てを見てもらえなくても、そこから何かを感じてもらえたらいい」。

 

ーーー

 

全ての人が同じベクトルで作品を見ているわけではない、感じ方も様々です。

だけどその先に見えてる共通点は「乃木坂ちゃん可愛い」

手掛けるクリエイターも、支えるスタッフも、見るファンも、違う視線で見ていたとしても、その先にあるのは「乃木坂ちゃん可愛い」

 

乃木坂ちゃんが可愛いから、それだけの魅力があるから、クリエイターは伝わらないかもしれない設定にまで尽力して、スタッフは全てが見られなくても9万点もの資料を用意して、オタクは全てを見れなくてもだいたいぜんぶ展に足を運んで、飲み会では好きな推しについて語るんだなと。

 

分かり合うことが出来なくても、分かち合うことは出来る。

 

「そう簡単に分かり合えるわけない」のだとしても、「お互いに支え合って前向いて」行くのが大切だな。そう思った一日でした。

 

とても楽しい旅でした。会ってくださった方、また、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。