diary

“Quem deseja ver o arco-íris, precisa aprender a gostar da chuva.” @pyi46

アイドルと恋愛禁止

 

アイドルの仕事と言えば何を思い浮かべるだろうか。

ファンに笑顔を与える。歌やダンスで魅了する。努力、涙、感謝、勇気。

だけどこれらは付加価値に過ぎない。

 

例えば料理人の仕事と言えば「美味しい」を提供することだし、芸人の仕事は「面白い」、ミュージシャンの仕事は「素敵な曲、素敵な歌声」だと思う。

料理人の接客の良さも、芸人のビジュアルの良さも、歌手のトークの上手さも、それぞれ魅力ではあるけど、これらはあくまで大前提がある上での付加価値に過ぎない。

 

ではアイドルの仕事は何かというと、僕は「かわいい」だと思う。

様々な付加価値的な魅力も、全ては大前提に「かわいい」があってこそ成立している。

 

極端なことを言えば例えばプライベートで彼氏を作っていても、極論人を殺していても、かわいきゃアイドルとしての仕事は成立している。

 

料理人が裏でとてつもないパワハラを働いていても、芸人が闇営業をしていても、歌手が薬物をやっていても、美味しい、面白い、いい曲を提供していれば仕事は成り立っている。と僕は思ってる。

 

星野みなみのスキャンダルが発覚した時。僕のツイッターのTLには各々の色々な意見が見られたけど、その中には撮られた写真のかわいさを言ってる人が少なからずいた。

大前提で「かわいい」が仕事だと思っている僕からしてみると、これは煽りや皮肉抜きに素直に凄いことだなと思った。流石みなみちゃん、こんな時にまで凄く良い仕事してるなと。

 

じゃぁお前は恋愛を容認してんのかと言われたらそうゆうわけじゃない。

疑似恋愛をオプションの一つにした上で商売をしてきているのだから、例え運営が恋愛禁止を明言していなかったとしても、運営(売り手)にもアイドル(商品)にもファン(買い手)にも『恋愛禁止』には暗黙の信頼があるはずで、それを破った時には信頼が崩れることもイメージが変わることも理解していなければならない。

 

アイドルは特殊な職業だと思う。彼女達はファンからの支えの対価として、自分自身を捧げる。容姿、スタイル、言葉遣いだけじゃない。生活習慣から思想、感情までもファンはうるさく指摘する。

10代から20代の少女が、仕事だけではなくプライベートまで管理されて恋愛は許されないなんて、人権侵害とも言えるんじゃないかなと僕は思う。

だけど、恋愛をすることで信頼は崩れ、イメージも崩れることは事実。それはアイドル活動を続けていく上で彼女達にとって大きなダメージだと思う。

 

だから僕は「恋愛はしちゃいけない」ではなくて、「(得るものと失うものを天秤にかけた時に失うものの方が大きいから)恋愛はしない方がいい」と思っている。

だけどこれは事情を知らない外部の人間の憶測であって、もしかしたら失うものとの天秤にかけた時にそれでもかまわないと思って恋愛をしたのかもしれないし、失うものがあってもそれ以上に得るものの方が多いと考えて恋愛をしたのかもしれない。

だからスキャンダルが発覚すると、「恋愛禁止のルールを破って許せない」よりも「恋愛しちゃったんだ」という気持ちになるし、そこから先は当事者の意志の問題だから責める感情にもならない。

だけど裏切られたと感じるファンの気持ちも、許せない、もう応援出来ないと思う感情も仕方がないものだと思う。

 

これらを踏まえた上で誤解を恐れずに言わせてもらうと、彼女はそんなに悪いことをしたのか?と思う。

 

乃木坂は今や過去存在したアイドルグループの中で一番ファンが多いグループだと思う。その一期生、10年間在籍していた彼女が起こしたスキャンダルは、アイドルが好きな人だけじゃなくても沢山の人が多少の注目と共に知る事実となった。今後彼女がどんな人生を歩んでいこうとしているのかは分からないけど、芸能界に残るならスキャンダルのイメージは永遠に消えないし、一般人になったとしてもそのイメージを持つ人と関わっていかなければいけない。今まで10年間一緒に活動してきた仲間との関係も変わってしまうかもしれない。

 

以前、無期懲役で刑務所に入っている囚人のドキュメンタリーを見たことがある。彼らは顔を隠し、声も変えた状態でインタビューに答えていた。

無期懲役を言い渡された囚人ですら、プライバシーを守られている。

いずれ復帰するかもしれない社会の中で円滑に生きて行けるように配慮されている。

 

彼女は別に犯罪を犯したわけじゃない。一人の少女がただ恋愛をしただけで、これから先一生そのイメージを背負って生きていかなければいけない。

 

その上でもう一度言わせてもらうと、それ以上責められるほど悪いことをしたのか?と思う。

 

人間ってのは恐ろしい生き物で、自分が正しいと思っていればいるほど、正しくないと思う人を傷つけても心を痛めない。正義を武器にすれば何をしてもいいと思っている。

その結果沢山の悲しい出来事がSNS上で起きているし、表に出ないだけで死にたいほど辛い思いをした人はこの数倍はいるのにも関わらず、同じことを繰り返す。

そして何かが起きた後に言う。「自分は悪くない」と。

 

これは別に彼女を許せないと思ってる人に対してもう許せと言ってるわけじゃない。

裏切られたと思う感情や、許せないと思う感情を抱くのは自由だと思う。だけどそれと彼女を傷つける発言は全く違う。これを同じだと思ってる人が凄く多いなと思う。

 

以前、松村沙友里がスキャンダルを起こした後の選抜発表で、日村さんが彼女に「もういいでしょ。もう充分痛い目は受けたし」と言っていた。

僕もそう思う。発覚した時点で、もう充分報いは受けている。

 

確実にファンは減るだろうし、ファンを裏切ったというイメージは消えない。謝って反省したから元に戻るかといったら決してそうではない。

前にもブログで書いたけど、破れた本はテープで修復して読むようには出来るけど、元の綺麗な本に戻すことは出来ない。今後の活動でどれだけテープで修復したとしても、元通りには戻らない。

それで充分だと思う。それ以上の責めは何も生まない。

 

アイドルは、直接会えたり、気持ちを伝えたり、身近に感じることが出来るけど、ファンは決して当事者ではないことを忘れてはいけないと思う。

ファンはアイドルにいくら使おうが、どれだけの時間をかけて応援していようが、彼女の人生に踏み入る資格はない。

 

料理人がパワハラしてることが発覚してそれが許せないなら、その店にはいかなければいい。闇営業が許せないなら、その芸人が出てる番組は見なければいい。薬物が許せないなら、そのアーティストの曲は聞かなければいい。

それで充分だし、それ以上のことはするべきではないと思う。

 

アイドルの仕事は「かわいい」だと思う。

どうか、アイドルを好きなファンが、アイドルから仕事を奪うことがないといいなと思う。