diary

“Quem deseja ver o arco-íris, precisa aprender a gostar da chuva.” @pyi46

『やさしさとは』の歌詞と乃木坂の楽曲から創作する君と僕の物語(中編)

 

後半です。前半後半と分けたのは長くなったからってのもあるんですが、実は理由の一つにこのブログに書きたかったもう一つのテーマがありまして。

乃木坂の楽曲って「僕視点」の曲が多くありますよね。そしてこれは秋元康がそう考えてるのだろうってことではなくて、完全に僕がそう思ってるだけなんですが、この君と僕はいくつかの曲の中で同一人物なんじゃないかなって思ってます。

 

後半には、そんないくつかの曲の中に出てくる『僕と君』で僕が勝手に創作した物語を簡単に書いてみたいなと思います。そして勿論この僕と君は『やさしさとは』の中の僕と君になりますので、そう思って読み進めていただけるとありがたいです。

 

 

2人の出会いは高校一年生の時です。

彼は大人しくて人見知りで自分の感情を表に出すのが苦手。だから初めて出会うクラスメイトにも上手くなじめずに、入学して一番最初にあるイベント「友達作り」に参加することができないまま、ふと気が付くとクラスで孤立して一人きり。

このまま一人で高校生活を送るのかと彼も諦めていた。一か月、二か月と経つと次第に孤独にも慣れてきていた。

6月のある日、体育の時間。クラスメイトがサッカーをしてるのを校庭のはしっこで一人眺めていた彼の足元にボールが転がってきた。

誰かが拾いに来るだろう。彼はそう考えてボールから少し離れた。そのボールを拾ってクラスの輪に混じる勇気はなかった。

同級生の女の子がボールを取りに来た。駆けてきた彼女は少し手前で止まると、ボールから少し離れた僕を見た。慌てて目を逸らしても視線を感じた。そっと彼女を見ると、彼女は変わらずに僕をじっと見ていた。ボールを拾って彼女の足元に転がすと、彼女は「ありがとう」と笑顔で言ってきた。

 

これが僕と君との出会いになります。

心無いクラスメイトから「透明人間」なんて揶揄されてることも知っていた彼はますます心を閉ざしてしまい、クラスの誰ともなじめずにいました。孤独のまま高校生活を送ろうと思っていた彼に初めて笑顔を向けてくれたのが彼女でした。それから少しづつ彼の人生が変わっていきます。

 

翌朝登校すると、彼女が気になって自然と目で追っていた。視線に気が付いたのかは分からないけど彼女と目があった。勇気を出して「おはよう」と声をかけると、彼女も笑顔で「おはよ」と返してくれた。それから、少しづつ彼女と話すようになっていった。

彼女は陸上部のマネージャーをやっていた。

「僕も何か運動部入りたいんだよね」自分を変えたい気持ちがあった。何気ない僕のその言葉に目をらんらんと輝かせて「君も陸上部に来なよ」と誘われた。

「でも…」と悩んでると「大丈夫、君ならきっと出来るよ」と真っすぐな目で言われた。君に言われると出来るような気がしてきた。君の言葉には不思議な力があった。

 

彼女の強い誘いもあって、彼は陸上部へ入部することを決心します。

そして同じ陸上部の同級生とも話すようになり、彼にも高校に入ってから初めての友人が出来ました。友人はいわゆる陽キャでクラスの中心人物、だけど優しくて誰にでも分け隔てなく話しかけるタイプ。だから陸上を始めると言った彼ともすぐに打ち解ける事が出来ました。そもそもが彼を「透明人間」と揶揄していたのも一部の心無い同級生だけで、彼自身には大きな壁があったけどクラスメイトに疎外されていた訳ではなかった。だからそんな明るい友人と行動を共にすることで、次第に新しい友人も増え、彼にも笑顔も増えてきました。

ややこしくなるので彼の友人を陸上部から取って「リク」と呼ぶことにします(安易)

 

この頃の彼は今の自分の環境があるのは彼女のおかげだと感謝していたし、そうゆう意味では彼女に特別な感情は抱いていました。だけどそれが恋心だとはまだ彼自身気付いていませんでした。

 

部活にも慣れてきた夏のある日のこと。

立ってるだけでも汗が滴り落ちる中、失われた身体中の水分を少しでも補給しようと、水道の蛇口に顔を近づけて冷たい水を喉に流し込んでいた。

水を飲んでいると、眩しすぎる青空が斜めに見えていた。

煩い程に鳴く蝉の鳴き声が校庭をぐるりと囲んでいた。暑さからグラウンドは照り返して地面にはゆらゆらと蜃気楼が見えていた。ふと、一人だけ制服姿でスコアブックを抱えて、まっすぐに選手を見つめる彼女の横顔が目に入った。君の白いシャツとグレーのスカートが、蜃気楼のように切なく揺れていた。

「おーい、行くぞ」

リクに話しかけられるまで無意識にずっと彼女を見ていた。心がざわざわとしているのに気が付いた。それから、気が付くと彼女を目で追ってる自分がいた。

 

高校に入り、いきなり孤独を経験し、慣れない部活を初めて、きっと彼の心はまだいっぱいいっぱいだったのかなと思います。それが彼女のおかげで少しづつクラスにも打ち解けて、部活のしごきにもついていけるようになってきた。

人生に余裕が出来てくる中でふと彼女を見た時に、彼は彼女を好きになっていることに気がつきます。だけどまだ告白しようと考える、そこまでの余裕は持ち合わせていません。

 

テスト期間で部活がないある日。

彼は補習で居残り勉強をしていた。そこには彼女の姿もあった。それでもいつもよりも早く帰れるねなんて話して学校を出ると、雲が少しだけ影を縁取って、あっという間にざざーっと雨が降り始めて夕立になった。

君は学生鞄を頭に翳して慌てて走り出す。僕も後を追った。

軒下を見つけて二人で雨宿りをした。「ついてないね」って言う君のちょっと泣きそうな、だけど素敵な笑顔を見て、胸の鼓動が早くなった。君の笑顔を見ると心が満たされた。もし僕が君に好きだと伝えたら、この関係はどうなってしまうのかなって考えた。

この関係を失いたくないと思った。失うのが怖かった。だから、君を好きな気持ちは心の奥にしまっておこうと決めた。

テストが終わって部活が始まった。失われた身体中の水分を少しでも補給しようと、水道の蛇口に顔を近づけて冷たい水を喉に流し込んだ。彼女の事はなるべく見ないように意識した。

今日も水を飲みながら斜めに見えるあの青空が、僕の味方をしてくれている気がした。

 

彼は彼女を好きなことに気が付いてから、次第に彼女を意識してしまうようになっていました。そして尚更今の彼女との関係が失いたくないものになっていきます。彼女に好きだと伝えて恋人同士になることよりも、彼女との関係性が壊れることの方が怖かったんでしょうね。否定したって、瞼を閉じれば君が思い浮かぶのに。

 

きっとこの後も色々な出来事があったと思います。クリスマスをリクと二人で過ごして街を歩くカップルに嫉妬したり、バレンタインに彼女から義理チョコを貰ってリクと一緒に喜んだりしたのかもしれません。色々な出来事が起きた中で、彼の望み通りに君と僕の関係は保たれたまま、物語の舞台は高校二年生に移ります。

 

高2の夏。陸上部は夏休みも学校に来て練習を続けていた。

立ってるだけでも汗が滴り落ちる暑さの中で走ってると、君を好きになった去年の夏を思い出す。僕が君を意識したのは、去年の6月夏の服に着替えた頃だったな。

「あーあ、彼女欲しいな」「お前は好きな人いないのか?」最近のリクは口を開けば彼女が欲しい彼女が欲しいと言ってくる。お前は欲しくないのか?って。そんなリクの影響で、ずっと抑えていた君への思いが膨らんできてしまっているのが分かった。

あの時はこんなに君を好きになるなんて思っていなかった。失いたくなくてずっと自分の気持ちを抑えてきたけど、君への思いは募るばかりだった。その思いを、次第に君に伝えたい気持ちが強くなっていた。失うのは怖い。

だけど、もし君が振り向かなくても、その微笑みを僕は忘れない。

 

片思いをしていた一年間で彼女への思いは募るばかり。この関係性を失いたくない想いより、君が振り向いてくれなかったとしても自分の思いを伝えたいと、彼の心情は変わっていきました。そして彼は夏休み明けに勇気を出して告白することを決意します。

 

 

ここからは完全に妄想です(ここまでも完全に妄想ですが)、しばらくは楽曲とは関係ない中での物語になります。

 

彼は彼女を九月初旬に開催されている花火大会に誘います。

突然の誘いに驚いた彼女も、「実は私も君に聞いてほしい話があるんだ」と彼の誘いを承諾します。彼女の言葉にほんの少しの期待を抱きながらの花火大会当日。彼女の浴衣姿に見惚れたりしながら一緒に夏祭りを楽しみます。一緒に花火を見た後に告白しよう、彼はドキドキしながらその時を待っていました。

歩き疲れたねなんて言って、ちょうど空いていたベンチに腰掛けて一緒に買ったカキ氷を食べてる時。

「あのね」

彼女が切り出します。

「あのね…」

言いにくそうに言葉を詰まらせて。

もしかして…告白?彼はドキドキしながら彼女の言葉を待った。

しばしの沈黙。夏の空気が2人を汗ばませる。

意を決して彼女が口を開いた。

「あのね…好きなんだ」

僕も…と言おうとした時だった

「リク君の事が」

咄嗟に言葉を飲み込んだ。

「君はリク君と仲がいいから、相談に乗ってほしいなって思って…」

彼女の横顔は今までに見たことがない程に真っ赤になっていた。

浴衣に合わせて上げた髪のうなじからポタリと汗が落ちた。

「いいよ」

僕は彼女の頼みを承諾した。

「ほんとに?」

「勿論」

僕の笑顔は引きつっていなかっただろうか。

…いや、引きつっていたとしてもかまわないか。

僕の顔なんて彼女の眼には映っていないんだから。

 

こうして、彼女に思いを伝える前に彼の恋は終わりを迎えます。

告白出来ずに終わった恋を消化しきれずに、彼女を好きな気持ちは失くすことが出来なかった。

ここから彼の切ない片思いが始まります。

彼女とリクが付き合うまでにはそんなに時間はかかりませんでした。

彼女を好きなまま、リクと彼女の間に入って、2人を結んで、3人の関係は続いていきました。

彼は部活以外の時間はあまり彼女と接しないようになります。

 

「最近なんか距離あるね」

「そう?」

彼の気持ちを知らない彼女はそれをリクと付き合ってるから遠慮してると勘違いします。

「私たちのことはきにしないでいいから、前みたいに友達として普通に接して欲しいな」

それは彼女なりのやさしさだったのかもしれません。だけどそれが彼には余計に辛かった。

彼は失恋はしたけど、決して彼女を嫌いになったわけではないし、リクを嫌いになったわけでもない。透明人間だった自分を見つけてくれた彼女への感謝の気持ちは変わらずにあったし、クラスメイトの輪に入れるきっかけになったリクとの友情も大切に思っていました。

だから、彼は次第に一歩引いた状態で二人を眺めるようになります。「道のこっち」から。

それが彼が二人と一緒にいるために取った精一杯の防衛策でした。

 

高一の時に『失いたくないから』の中で君を好きな気持ちに気が付いて、高二の時に『君の名は希望』の中でその思いは強くなって、君に告白をしようと決意した。

 

 

 

 

すみません、出だしに後半と書きましたが、思いのほか長くなったのでやっぱ前中後編と分けて残りは本物の後編にさせてくださいw(本物の後編ってなんや)